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有限会社ナスカ一級建築士事務所
162-0052 東京都新宿区戸山3-15-1 日本駐車ビル4F
T 03-5272-4808 F 03-5272-4021

水关の家Weekend House at Shui-Guan

中国北京

設計 古谷誠章+NASCA
用途 別荘
構造 RC+S
規模 地上2/地下1
敷地 1,514.00㎡
延床 313.40㎡
竣工 2002.5
掲載 新建築2007.07、GA JAPAN 57、建築文化 66

香港の講演帰りに北京に降り、今回クラブハウスを担当した承孝相(Seung H­ Sang韓国)とおちあい、依頼主である張欣 (Zhang Xin)女史と会った。その晩はプロジェクトの趣旨を聞き、翌日敷地を見た。万里の長城の観光駐車場を抜け、奥の林に分け入ること2,3分で現場に着く。張欣や承と共に急斜面をよじ登って見晴らすと、遙か彼方まで稜線を伝う万里の長城が見えた。
一筋の谷間に点在する敷地の中で、僕の敷地は樹林の中にあった。このとき既に、縦長の短冊状の壁でL字形平面を構成し、戸内で林の空間性を反芻するプランを思いついた。森の中を気ままに逍遙する楽しみを屋内にも連続させようというものだ。各所に変化に富んだ微地形的な小空間をちりばめる。木立越しに夕陽の沈む長城を望めるように、ダイニングのあるウィングを西に向け、テラス越しに戸外を眺める一画には、中国の伝統的な暖房高床である「炕(力ン)」を日本の縁側のように長くアレンジしている。
敷地訪問から数週間後に模型をもって再び張欣を訪ねると、ちょうど張智強 (Gary Chang,香港)が、床を自在に開閉してベッドやバスルームが舞台装置のように現れるというガラスボックスを提案していた。これを見た張英和(Yung Ho Chang,中国)は自分の案が保守的すぎたといって、その後プランを変えている。参加メンバーが相互に作用しあってプロジェクトが進行するという、同時並行的な国際共同がひとつのテーマだろう。少なくとも今日までのアジアでこのようプログラムが実践されたことはない。昨年2月には全員のプロジェクトが揃い、展覧会がスター卜した。旧知の力二力 (kanika R'kul ,タイ)やタン・ケイ二一 (Kay Ngee Tan,シンガポール),隈研吾らが集まって、互いに賑やかに批評する。並行して、工ンジ二アや工事関係者との打ち合わせが分刻みで繰り返された。
アジアのローカリティーとストレンジャーとしての目が主題としてある。僕はローカルな材料である煉瓦や木材を使いながら、柱や梁やスペースのプロポーションを従来のものから逸脱させることを考えた。職人技術の制約でディテールは大幅に変更されたが、空間感は多少なりとも達成されている。

撮影 淺川 敏