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有限会社ナスカ一級建築士事務所
162-0052 東京都新宿区戸山3-15-1 日本駐車ビル4F
T 03-5272-4808 F 03-5272-4021

鶯庵O-an

千葉県稲毛区

設計 古谷誠章+NASCA
用途 専用住宅
構造 RC
規模 地上1
敷地 202.47㎡
延床 85.21㎡
竣工 2009.02
掲載 住宅特集2009.08

この家は、外から見るとどこにあるのか分からないぐらい小さく、中には入ると思った以上にスペースに広がりがある、そんな風に作りたかった。既存の塀をそのまま残し、建屋はその塀と庭に紛れ込んでいる。敷地両側には隣家が迫っていたから、家の構えは必然的に門型のボックスとなった。これに外断熱を施して、問題はその中身をどうするか。

施主はここで寝るし、仕事もするが、たいていはひとりで過ごす。そのため、機能別の諸室に区切る意味があまりない。要は家の中に、ある種一様でない、空間のまだらな状態をつくることだと考えた。その「まだら」を使い分けて暮らせるようにする。だから寝室と居間の領域は、箱状のキッチンが隔て、玄関とバスルームでさえも、クローゼットが隔てとなっている。この家で唯一の隔壁である曲面壁も、主室とそれ以外とを仕切ると共に、むしろ内部空間を外部の庭に広げている。つまりこれらすべての「隔て」の要素が、同時に空間をつなぐ役割を果たすように考えた。

撮影 淺川 敏