鶯庵O-an
千葉県稲毛区
設計 | 古谷誠章+NASCA |
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用途 | 専用住宅 |
構造 | RC |
規模 | 地上1 |
敷地 | 202.47㎡ |
延床 | 85.21㎡ |
竣工 | 2009.02 |
掲載 | 住宅特集2009.08 |
この家は、外から見るとどこにあるのか分からないぐらい小さく、中には入ると思った以上にスペースに広がりがある、そんな風に作りたかった。既存の塀をそのまま残し、建屋はその塀と庭に紛れ込んでいる。敷地両側には隣家が迫っていたから、家の構えは必然的に門型のボックスとなった。これに外断熱を施して、問題はその中身をどうするか。
施主はここで寝るし、仕事もするが、たいていはひとりで過ごす。そのため、機能別の諸室に区切る意味があまりない。要は家の中に、ある種一様でない、空間のまだらな状態をつくることだと考えた。その「まだら」を使い分けて暮らせるようにする。だから寝室と居間の領域は、箱状のキッチンが隔て、玄関とバスルームでさえも、クローゼットが隔てとなっている。この家で唯一の隔壁である曲面壁も、主室とそれ以外とを仕切ると共に、むしろ内部空間を外部の庭に広げている。つまりこれらすべての「隔て」の要素が、同時に空間をつなぐ役割を果たすように考えた。
撮影 淺川 敏