戸山の2世帯住宅・ⅠTwo-family House at Toyama Ⅰ
東京都新宿区戸山
設計 | 八木佐千子+NASCA |
---|---|
用途 | 住宅(改修) |
規模 | 地上2 |
延床 | 87.165㎡ |
竣工 | 2014.3 |
区立公園を借景にした箱根山の一角の閑静な住宅街に位置する築30年を経た2階建専用住宅の内装改修。新築時の構造は2階軒梁と水平スラブまでがRC。その上の木造置き屋根が傾斜屋根と天井裏を形成している。新築当時は夫婦とその二人の娘の暮らす一世帯住宅だったが、今度は4世代が住む2世帯住宅となる。新築時の施主親子世帯が1階に。その孫ひ孫世帯が2階に同居することになる。約9m角の平面形の中央に上下をつなぐRC階段が位置する。この階段スラブで上下階を仕切るが、一方で暗くなりがちな1階中央に階段を利用してわずかでも光を落とせるようなディテールを画策した。幸いなことにRCラーメン構造で内部間仕切りはほとんどが乾式壁のため撤去。水回りの位置も再構成することで、最後まで既存設備を使いながら新規配管工事も可能となる。寒さと暗さが難点であった1階は外皮性能を上げることと、廊下を無くし空気を居室から室に流すことで全体が程よく空調され、快適な空間となった。天井も躯体表しにし、家具で間仕切り、間接照明とすることで大きな気積と伸びやかな空間ができた。外部介護者の必要な高齢者と暮らす世帯に対して、気配は感じるものの、個々のプライバシーを確保できるような動線プランニングや家具のしつらい等に入念な配慮と工夫を試みた。
撮影 淺川 敏